| 命懸けの出産 | |
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命懸けの出産 |
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命懸けの出産 私は晩婚でしたので、出産は諦めかけていました。 自分の赤ちゃんをぜひ出産したいと願っていましたが、 人工的な妊娠は望みませんでした。もしダメならば、 それも仕方ない事と捉えていました。 どうしても子供を諦めきれなければ、里子を預かることも 考えていました。 |
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| 落ち葉と戯れる息子 | そして、本当に赤ちゃんを諦めてしばらく経った時に、 赤ちゃんが宿っていることが分かりました。 妊娠中は、重度のつわりで、キャベツを見ただけで 「オェー、オェー」となりました。水を飲んでも吐く始末。 唯一何とか口にできたのは、大好物のハーゲンダッツ アイスクリームのみ。しかも、スプーンでふた口くらい なめたら、もう十分、という感じでした。 ですから、体重は殆ど増えませんでした。せいぜい 5キロ増えたぐらいでした。 病院の母親教室へ行くと、必ず妊娠中毒症に対する 注意がありました。 急な体重増加やむくみ等の症状があったら、 妊娠中毒症の疑いがあるので要注意と。 むくみも急激な体重増加もなかった私には、 妊娠中毒症は無縁のことと思っていました。 でも、妊娠7ヶ月ごろの検診で、尿にタンパクが 出て、医師に絶対安静を言い渡されました。 しかし、家が自営業でしたので、なかなか安静に している訳にもいきませんでした。 私は、小柄なので、大きいお腹を抱えて寝返りひとつ 打つのも大仕事で、 「世の中の妊婦さんたちは、こんな大変な思いをして 出産してるのねぇー。フー、しんどい!」 と思う毎日でした。この頃は、階段を登る時に 星がチカチカと見えました。 この星がチカチカと見えるのも、中毒症状の一つだと 知ったのは、だいぶ後のことです。 そして、34週の検診の日、担当医師が、「しばらく 入院してください。安静にして様子をみましょう。」 と言ったのです。 何の準備もないまま、あたふたと入院の手続きをし、 大部屋に入れられました。その大部屋は、 多胎妊婦さん達の部屋でした。 大学病院でしたので、人工授精も行っており、 三つ子、四つ子が生まれそうな妊婦さんたちの 専門部屋だったようです。 私は、超がつく高齢出産でしたので、その部屋に 入れられたのだと思いました。つまり、何らかの 危険因子がある妊婦さん達専用の部屋だったのです。 「しばらく、安静にしていればいいのだ」と思っていた私。 ところが、その夜状況が急変しました。担当医師が、 突然考えを変えて、胎児が元気なうちに 出産させた方が良い、との結論に達したらしいのです。 担当医師が、病室に来て、「明朝一番に、帝王切開で 赤ちゃんを取り出します!」とのこと。 翌朝、私は心の準備もできないまま、寒さもあって 身体を小刻みに震わせつつ、手術室の人となりました。 手術室には、担当医師をはじめ、小児科医や様々な 分野の医師達や看護師達がいました。 そういう経過で、3月7日AM9:30に長男を出産。 4月20日が出産予定だったので、一ヶ月半も早い 誕生でした。 体重わずか1、756グラムしかなかったのと、 肺機能も充分でなかったため、私とひと目対面後、 すぐにNICUへ収容されました。 私はというと、出産してからがまた大変でした。 丸二日間、真っ暗な部屋に隔離されたのですが、 血圧は220まで上がり、帝王切開した痛みやら、 子宮を収縮させる点滴の影響やら、頭痛やら、 とにかくそれまで経験したことのない様々な痛みに 身の置き所がありませんでした。 後で聞いた話ですが、担当医師は家族らに 「最悪の場合も考えられるので、一応覚悟して おいてください」と話したそうです。 結局、私は命が助かりました。 車椅子で動けるようになってから、NICUにいる 息子に会いに行きました。 保育器の中の息子は、本当にちっちゃくて、果たして 生きられるのだろうか、と案じるばかりでした。 すると急に、お腹の辺りがすごく痛み出し、それ以上 NICUにいる事が出来なかったので、病室へ戻る私。 それから二日後に再び、車椅子で息子に会いに NICUへ。するとやはり、息子を見た途端に、腹部が 痛み出す始末。訳が分かりませんでした。 その事を助産師さんに話したところ、理由が判明。 息子の顔を見ることで、私の身体が子宮を収縮し、 母乳を出せるように自然に準備をしているから、 そのような痛みが出るのだと。 私は、人間の身体の不思議さに驚きました。なんて 素晴らしい仕組みなのでしょう。 息子は、二ヶ月の入院を経て退院へとこぎつけました。 退院する前日に、母乳を息子に直に飲ませる練習を しました。初めて息子に乳をふくませた時の感動は 忘れられません。 それ迄は、自分で搾乳した母乳を病院へ届けてもらい、 息子は機械からそれを飲んでいたのです。 この体験を通して、どんな出産も「奇跡」なんだと 心底思うようになりました。安産も「奇跡」であることに 変わりはないと思いました。
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