ベトナム
北の国のカフェから

ベトナム人留学生

  


 
          ベトナム人留学生


 ベトナムは、今でこそアジアの中でも特に人気のある
 観光スポットとなっています。

 でもこのベトナムがつい20数年程前までは、
 百万人以上の難民を出した国だったことを知っている、
 もしくは覚えている人は、少ないのではないかと
 思います。

 ベトナム難民がボートピープルとして、命がけで祖国から
 逃亡し始めたのは、1975年頃からだったと思います。

 当時各種学校の学生だった私は、テレビや新聞で
 盛んに報じられていたベトナム難民の人達の存在は、
 知るようになっていました。でも、自分の周囲に
 ベトナム難民の人はいませんでしたので、遠い国の話
 くらいにしか思っていませんでした。

 日本という国は、新聞・テレビ・ラジオなどのメディアが
 発達している国なので、世界の殆どの情報がいとも
 簡単に家に居ながらにして得られます。20数年前も
 パソコンこそありませんでしたが、同じような状況でした。

 私は、各種学校を卒業して後、アメリカで3年半という
 留学生活を送る機会に恵まれました。

 ワシントン州のマウント・バーノンという町の、二年制の
 カレッジに留学しました。当時人口が一万人足らずの
 小さな田舎町でした。

 そんな小さな町にもベトナム難民の方が沢山住んで
 いたのです。

 カレッジでも、何人かのベトナム難民の人達と
 机を並べて学ぶ機会が増えるようになりました。

 だんだん彼らと親しくなってゆく中で、一人の女性が
 私に、彼女達の凄まじい命がけの逃亡体験を
 話してくれました。

 今まで知識として知っていた事が、目の前にいる
 「証人」の口から語られることで、現実に本当にあった
 事なんだと体全体が震える感じでした。

 しかも、自分と同世代の人達がそんな残酷な体験を
 してきた事を知り、大変ショックでした。

 幸運にも海外に脱出できた彼らですが、もう一生
 母国に帰れないと思っていたようでした。

 また、離れ離れになってしまった家族達をいつの日にか
 アメリカへ呼び寄せられるように、必死になって勉学に
 励むベトナム人の友人もいました。

 でも、その夢が叶うのかどうかは、彼らにも分かりません
 でした。

 彼らとの出会いは、私にとって貴重な体験でした。
 戦争を知らない私に、平和と自由の大切さを実感
 させてくれたからです。

 彼らは、ベトナム人である事に誇りを持ち、母国の事を
 よく教えてくれたり、ベトナム料理を振舞ってくれました。

 それから20数年経った現在、当時のベトナム人の
 友人らとは連絡が途絶えてしまいました。

 ベトナムは、おしゃれなリゾート地へと大変貌を遂げ、
 ベトナム料理も若い女性層を中心に人気を呼んで
 いるようです。

 雑誌やテレビで「ベトナム」という言葉に触れるたびに、
 あの時出逢ったベトナムの友人らも、平和になった
 祖国を訪れて、家族達と感動の再会を果たして
 幸せな人生を歩んでいて欲しいと思うのです。

        




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